Research
研究内容紹介

Project 01

脳の生理機能に対するグリア細胞の役割に関する研究

グリア細胞による長期シナプス再編メカニズムの解明

これまでシナプスが新しく作られ・除去される(刈り込み)「シナプス再編」は、神経細胞の自律的活動により行われると考えられてきました。しかし、このシナプス再編にミクログリア及びアストロサイトが重要な役割を果たしているとが明らかになりました。私たち、アストロサイトのシナプス再編のスイッチとして「mGluR5」を見出しました。このmGluR5を切り口として、脳の発達、疾患、加齢におけるシナプス再編及び長期ネットワーク再編のメカニズム及びグリア細胞の役割を明らかにします。研究は、シナプス再編のイメージング、アストロサイト機能解析(Ca2+シグナル)、最終的なアウトプットとしての行動解析(下図では疼痛行動)を行うことで、分子、回路、システムをシームレスに統合して行っています。

代表論文
Kim et al, GLIA 65,1719-1727(2017). doi: 10.1002/glia.23169
Kim et al, J Clin Invest, 126, 1983-1997 (2016). doi: 10.1172/JCI82859
Miyamoto et al, Nat Commun, 7, 12450 (2016). doi: 10.1038/ncomms12540.

グリア細胞による即時的シナプス伝達制御メカニズムの解明

グリア細胞は「グリア伝達物質」を放出することによりシナプス伝達を即時的にコントロールします。このようなグリア伝達は、記憶・学習などの高次脳機能や摂食や恐怖反応などの本能的行動にも関わることが知られています。即時的シナプス伝達のコントロールに関わるグリア伝達物質にはグルタミン酸やATP等が良く知られていますが、これらがいつ働いているのか、どのようにして働いてシナプス機能を制御するのかには多くの疑問が残されています。更に、新しいグリア伝達物質の候補も見出してきましたが、これが働く仕組みは殆どわかっていません。このような疑問を、In situグリア‐神経細胞機能イメージング技術、網羅的遺伝子発現解析等の分子生物学的手法、さらに遺伝子編集技術を駆使して解決します。また、グリア細胞によるシナプス伝達制御の脳機能における意義を、電気生理学、行動学的解析等を進めて明らかにしていきます。

代表論文
Shigetomi et al., J Neurosci, 38(6):1383-95. (2018) doi: 10.1523/JNEUROSCI.2625-17.2017.
Shigetomi et al., J Gen Physiol, 141(5):633-47. (2013) doi: 10.1085/jgp.201210949.
Koizumi et al.,. PNAS. 100(19):11023-8. (2003) doi: 10.1073/pnas.1834448100.

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